2012年2月29日水曜日

オーロラを観る



ここでは、オーロラを観る、ということと、その注意点について紹介します。

まず「オーロラを観る」ことをステップを三つに分けて考えてみます。
  1. オーロラが発生する
  2. オーロラが観測できる位置に移動する
  3. 発生 したオーロラを肉眼で確認する
これら一つ一つに対して解説します。

1. オーロラが発生する

まず、オーロラは太陽と地球の磁場の相互作用により生じる自然現象である、ということを頭に置かなければなりません。
詳しくは書きませんが、いつも発生しているものではなく、また確実にいつ発生するのか予測できるものでもありません。
ただ予測については、太陽活動の活発化と関連があるので長期的には約11年周期で最もよく発生する時期が来ます。
2011~12はピークにあたります。

また、「宇宙天気予報」と呼ばれるものがあります。
これは、簡単に
宇宙天気が荒れる=地球の磁場が激しくなる=オーロラ出やすい
と考えてもらって大丈夫だと思います。
宇宙天気予報は、太陽を観測している人工衛星のデータを元に行われており、
後の1週間程度の中で発生しやすそうな日をおおよそ予測することができます。

しかし宇宙天気予報が穏やかだからといって、あきらめるのは早計です。
本当に出るかどうかは、運です。


2. オーロラが観測できる位置に移動する

「観測できる位置に移動する」
というのは2つの意味があります。

まず1つ目は、「オーロラ観測の出来る国の観測できる地域に移動する」という意味です。

オーロラは一般に極地方(北極・南極)で観ることができます。
激しいオーロラは北海道でも北の地平線付近に見えるそうですが、
そのようなケースは稀で、「観るために」移動する地域は、アメリカのアラスカや、カナダ、北欧といった国の
地域になります。

どのような地域があるのかは、旅行会社のパンフレットから選ぶとよいでしょう。
1度の経験からのみの意見ですが、オーロラ観測に来る観光客は日本人が半分近いので、
日本人による日本人のためのツアーがあったり、
日本人、あるいは日本語を話すガイドがいるなど、
日本語しかしゃべれなくても困ることはほぼないからです。
お金は頑張って用意しましょう。


2つ目は、「地域の中でオーロラが見えるポイントに移動する」という意味です。
詳しくは  発生 したオーロラを肉眼で確認する で述べますが、
オーロラを観るには、まず地域の中でも街・ホテルの光が届かない少し離れた暗いところに移動しなければなりません。
ホテルの自室から外を観て「あ、オーロラ出てる」となるのは、運が良いと思います。

さて、暗いところに移動したとして、オーロラが発生していればいつでも観られるのでしょうか。
オーロラは高度100km以上で発生しているので、雲(高度数kmに存在する)があると雲に邪魔をされ観ることができなくなります。

このとき、
  • 雲が移動するのを待つ=自分が居るところがオーロラが観られるポイントになることを期待する
  • 雲が無いところに移動する= 移動先がオーロラが観られるポイントになることを期待する
の2つをオーロラを観るために選択する必要があります。

このうち、「雲が移動するのを待つ」というのがポピュラーな選択肢だと思います。
この場合は、10分で雲が切れて同時にオーロラが現れるかもしれませんし、
5時間待っても雲が切れない、あるいは雲は切れてもオーロラが現れることがないかもしれません。

やはり、完全に運です。

「雲が無いところに移動する」は、現地の土地や天候に非常に詳しく自動車を使うことができる人がいる必要があります。
私は、日本人向けの
オーロラを観られないときは観られそうなところに、観られるときは綺麗観られるところに移動するバスツアー
に参加しました(60ユーロ・キャッシュのみ)。
こちらはお金がかかりますが、

  • 曇りの日は少しでも雲の切れそうなところに移動し、観られる可能性を高めること
  • 待ってる時間=バスでの移動時間なので、観ようとするとき以外は比較的暖かいバスの中にいられること
  • 晴れの日は街の灯りが届かない湖や丘の上へ移動し、より美しいオーロラを観ること
ができます。

本当に晴れたり、雲の切れそうなところがあるかは、
雲量マップ http://www.foreca.com/Finland/Saariselka?map=cloud
などで事前に確認しておくと良いでしょう。

以上のようにして、自分がオーロラを肉眼で確認できる状況に置きます。


3. 発生したオーロラを肉眼で確認する


オーロラが出るのを待っていて、白いモヤモヤしたものが空に浮かんできたとします。
果たしてそれはオーロラでしょうか。


オーロラは実際には写真で観るほど鮮やかでなく、薄い雲と見間違えてしまいます。
下の写真は私が撮影した写真(上)と肉眼で見えた状態に近い画像編集をしたものです。(下)
赤色はほとんど見えず、緑色も薄い色に見えます。





フィンランドで撮影したオーロラ(2012.2.23)

実際に肉眼で見たイメージに近くなるよう画像編集したオーロラ 



肉眼で見えた白いモヤモヤがオーロラか雲かどうかを見分けるには、

  • 星が透けて見えるかどうか
  • 写真を撮ると色がつくか
がポイントになります。

よほど薄い雲でなければ星が透けて見えることはほとんどありませんので、
透ければオーロラの可能性が高いです。

また、適切なデジカメを選んで適切に設定し白いモヤモヤを撮影すれば、
白いモヤモヤがオーロラであれば色が付きます。
ただ、直ぐ近くに街があれば、街の光が雲に反射している可能性もあるので、
注意深く何度か方向を変えて撮影してみましょう。


注意点


とにもかくにも防寒の準備です。
現地での貸し出しもありますが、スキーウェアのレンタル経験がある方はそれを想像するとよいと思います。
しっかりしたスノーブーツや防寒着に比べて、
  • 足先が冷たくなりやすい
  • 風通しがよく保温効果が小さい
です。
待っている間の体温の低下が実感できるぐらい急速に熱を奪われます。
体調(言いかえれば命)に関わることなのでしっかりした準備をした方がよいかもしれません。
また、カイロは手に持って外気に触れさせるよりも、腰や足先に貼ったり挟んだりしておいたほうが
暖をとる効果が出ます。


次に、(デジカメなどのフラッシュ・懐中電灯)についてです。
オーロラは暗いところで綺麗に見えます。
ほとんどの場合、貴方1人がオーロラを観に観測地点にいるわけではありません。
デジカメのフラッシュは確実に、懐中電灯の光は不要な方向に向けたり、明るすぎると周りの迷惑になります。
特にデジカメのフラッシュはとても光が強く広がりやすいので、本当に迷惑になります。
記念撮影をしたければフラッシュを焚かずに長時間露光をするなど工夫しましょう。
(普通のコンパクトデジカメでは、フラッシュを焚くと、露光時間が短くなりオーロラは写せませんので、フラッシュ自体意味の無いものです。)


最後は、旅の目的意識です。
オーロラが観れるかどうかは、自然相手の運による部分が大きいです。
お金を払ったり時間を使ったりしてチャンスを増やすことで、
観られる可能性を高めることはできます。
しかし、その分それ以外のことにお金・時間を使うことが限られることが考えられるでしょう。
つまり、「オーロラを観に行く」のか「旅行の一部でオーロラが観れれば良いな」なのか、事前にはっきりさせておき、
それを元に必要な決断を下しましょう。


以上で終わりです。
美しいオーロラが観られることの一助となれば幸いです。



Copyright © 2012, Hajime Fukuhara All Rights Reserved.


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